PGQ’s blog

色々な文章を綴っていきたいと思いました。

カラオセフリⅡ

今日は快晴。絶好の旅日和である。
僕達は荷物をまとめ、バスの座席に座った。これから向かうのは広島の原爆ドーム平和記念公園。そこで慰霊碑に手を合わせるのが今回の旅の目的だ。
バスが出発してから30分程経った頃だろうか。
「なにあれ〜」
赤ん坊が空を指さす。
「え!?どういうこと!オーロラじゃない!」
母親のこの一言でバスは静まり返り、そしてザワついた。僕は窓の外を見てみた。すると本当にそこには虹色のカーテンが広がっていたのだ。その美しさに目を奪われていると突然後ろから肩を叩かれた。
「ねぇ、鶴屋見て!」
振り向くとそこに立っていたのはライナだった。彼女の目は輝いている。
「天体Rの軌道が予測より遥かに地球寄りにずれたせいで磁場が歪んだらしいの」
「つまり、、、、どいうことか?」
「このままだと世界中がオーロラに包まれるわ。」

「まじかよ」
「まじよ」
オーロラが世界を包み込む。
それはまるで夢のような光景であった。
「すごい……」
思わず言葉が漏れた。それほどまでに凄かったのだ。

なんて、平和な会話だったら幸せだな。
「もう時間が無い。今日の旅行は中止だ。明日も明明後日も」
「覚悟はしていたけどこんなにも早くなろうとは、、、」
「何、そんなに遅いと思っていたの!責任感というものが欠けているぞ。」
「はい、、、 ごめんなさい」
「でも、どうして?何が起こっているのかお前が1番理解しているはずなのに」
「恐らくだが、磁場が歪み、宇宙の果てから大量の電磁波が流れ込んできたんだろうな。それによって地球のあらゆる物質が振動を始め、それがまた別の物質へと伝わっていく。その連鎖反応こそが重層的波整に、、」

「もうそこら辺にしなさい。だけどさっき、『つまり、どういうこと?』と聞いてきたのは何だったんだ。現実逃避か?だとしたらお前のことは今後一切信用出来なくなる。」
「すみません、、」
「お前のことはよく分かった。とりあえず今、我々人類が危機に直面していることは事実なんだ。だから私は今から対策本部に向かうことにする。お前はサイバー系の出来ることを全うしておけ。」
「分かった、気をつけてね。」
「ああ。」
そう言うと彼女は僕の頬にキスをした。