PGQ’s blog

色々な文章を綴っていきたいと思いました。

シャーペンの逆襲

難しいのはこの問題自体ではなく、シャーペンの使い方である。
顕微鏡をのぞいているかのように、意図する方向とは逆向きに動いていくのだ。
まずい、赤点だ...! と焦ったところで、ふと気づいた。
そうだ、これならできるじゃないか!
僕はシャーペンを手に取ると、テスト問題に向かって突き刺した。
そう、これならば絶対に解き終えることができるはずだ。
―――カキンッ! という音がして、僕のシャーペンは割れてしまった。
そしてシャー芯があふれ出てきたのでこれをつかんでテストを続行した。
「先生!」
「なんだ」
シャー芯が出すぎます!」
「知るか!」
テスト終了後、僕が提出した答案は悲惨だった。
名前を書き忘れた上に、解答欄もすべて埋めることができなかったからだ。
「あー、終わった……」
教室が何か騒がしい。
「テスト中変な音しなかった?」
「あいつがシャーペンを割ったらしいよ」
「ガチ草。いじめようよ!」
教室で目立ったことをしたせいで僕はいじめられるようになった。
「やめて!とがったシャーペンで僕の制服を刺さないで!」
「うるせえ、てめえが悪いんだよ!」
「そうだそうだ!」
しかし、ある日突然いじめは止まった。
「あれ?なんかこのシャーペンかっこよくね?」
「確かに!」
「何これ超ほしいんだけど!」
みんなが僕から奪ったシャーペンはなぜか後光を放ちだしていたのだ。
「なんでも鑑定団にだしたら1.0E+7円はいきそうだな」
ダメだ。僕はペンを絶対に取り返す。そして消しゴムで光を消してやる!!
その日から、僕のシャーペン争奪戦が始まった。
「やめて、そんなもので僕の制服を引っ張らないで!」
「いいじゃねえか、ほら、よこせよ」
「いやだよ!!」
「ちっ、しょうがねえな」
――ドカンッ!
シャーペンが怒って自ら消しゴムになってしまった!
「逃げろ~~~」
「待って、置いていかないで!」
結局僕はひとりぼっちになった。
でも大丈夫。
僕にはスマホがあるから。
さて、今日は何のゲームをしようかな……。
――ブツンッ! 急に画面が真っ暗になった。充電切れみたいだ。
消しゴムがバッテリーを壊した!
怒った僕は消しゴムを練り消しにクラフトした。
「これでよしっと……」
ふぅ、これでようやくゲームができる。
しかしスマホの電源を入れようとすると、練り消しがそれを邪魔してきた。
「ちょっと、どいてくれない!?」
「お前のせいで俺は消えてしまうんだぞ!?」
「ごめん、それは本当に申しない。死んでほしいんだ。」
「!?」
「さよなら」
「うわーーーーーー」
練り消しは蒸発した。
そんなことをしていたら教室の周りには警察官とか消防士がいた。
どうやら火災報知器が鳴ったらしい。
その後、僕は放火魔として逮捕された。
「どうしてこんなことをしてしまったんでしょうか?」
取り調べ室で警官は言った。
「消しゴムがかわいかったんです」
「ああ、なるほど……」
納得されてしまった。
ちなみに警官は修正ペンが好きらしい。