PGQ’s blog

色々な文章を綴っていきたいと思いました。

モンスターペアレント・コントラスト

にっこり♡
私の笑顔は札幌最強!
「今日もかわいいね~ゆかりちゃん」
近所の人もいつもニコニコ声をかけてくれる。私はその度に、胸を張ってこう言うのだ。
「ありがとうございます!」
そうすると、みんな喜んでくれるから……。
そんな風に過ごしていたら……いつの間にか、私は中学生になっていた。
でも、その頃にはもう、私は自分が普通じゃないことに気づいてたんだよね。
だって、みんなは恥ずかしがって笑わないんだもん。
「ゆかりちゃん、可愛いな~」
私の評判は札幌どころか北海道全体にまで広がっていた。
稚内に行っても、根室に行っても、
「あ!あの有名なゆかりちゃんだ!かわいい~」
という反応ばっかり。幸せ^^
だけど、ある日……
「あれ?何でみんな私を見てくれないの?」
私がいくら手を振っても、誰も気づいてくれない。まるでそこにいないかのように無視された。
そして、それから数日して……
「うわぁあああん!!!」
「どうした!?ゆかりちゃん!」
急に無視をされたことが原因で精神病を患い、障碍者として有名になってしまった。
TikTokとかTwitterに勝手に乗せられて、私の評判は日本中に...
こんな知名度、いらないよ...
「ねぇお母さん……」
「ん?どーしたの?」
「私、有名になりたくないんだけど……どうしたらいいかな?」
「えっ?!どうして?」
「だって……私が有名になるとお父さんが帰ってこないじゃん!」
「…………ごめんね。」
「なんで謝るの??」
「実はね、お母さんが『【検証】みんなでゆかりを無視したらどうなるのか!?【閲覧注意】』っていう企画をしていたの。」
「...嘘、でしょ......」
「本当にごめんね。これがバズればゆかりの可愛さは日本中に知れ渡って、もっとゆかりが幸せになると思ったの。」
「え...... でも、違うじゃん...」
「分からなかったの。ゆかりはデリケートだって。まさか悪評で有名になるとは思わなかった。」
「......お母さん... 嫌い!!!」
「待って!ゆかり!」
私はお母さんの手を振り払って家を出た。
「私なんて……死んじゃえばいいんだ!!」
こうして私は、自殺を図った。
でも……
「危ない!!大丈夫ですか?!」
「え……?あなたは誰?」
「僕は天馬といいます。一度そこから降りて。」
「嫌...」
「ダメです!あなたのことを愛する人がいるはずです!」
「うるさい!どうせあんたは私のことを知ってるんでしょ!それで、私をからかって、動画をSNSにあげるんでしょ!分かってるの!!」
「違います!!僕はあなたを知らない!何を考えているのかは分かりませんが、とにかく勘違いはやめてください!世の中はそんなに腐っていないですから!」
「嫌だ!!近づかないでよ!」
「ゆかり!!待ちなさい!」
「お母さん......」
「やめて!私がゆかりを守るから!一生罪は償うから!ゆかりが死んだら私も死んだも同然なんだから!」
「酷い...... どこまでお母さんは自分勝手なの... 死なせてよ......」
「... ダメだって...... 本当にごめんなさい...」
「でも、最後にお願いがあるの。」
「何?」
「お父さんに会いたい。」
「......」
「聞いてるの?お父さんに会わせて。」
「ごめんなさい」
「......え?」
「お父さんは... お父さんは...         自殺したの......」
「......うそ、でしょ...」
「本当よ。ゆかりが生まれてすぐに。だから、お父さんはいないわ。」
「......じゃあ、私は何のために今まで生きてきたの...... もう生きていく意味なんかないって...」
「...」
「なんか言ってよ、お母さん... 私はこれまで笑顔を振りまいていれば神様がお父さんに会わせてくれるって信じて生きてきたの... だけど、」
「もう疲れた。もう無理。あんたの話なんて耳障り。勝手に死ねばいいわ。」
「......え?」
「うん。望むなら一緒に死にましょう?」
私たちは2人で入水自殺をした。
「おーい、誰かいるぞ!」
「大変だ!」
「救急車!AED!」
このとき、私とお母さんは空から町を見守っている。
お父さんは陸だった。